中高齢者のランニング障害リスク低減のための足部・足関節の動作解析と2足ヒューマノイドロボットによる模擬

橋本健二、大谷拓也

川上泰雄、○高西淳夫

近年,健康の維持・増進を目的にランニングを行う人が若者から高齢者まで増加しているが,ランニング障害の受傷率は年37〜56%と報告されており,決して低くない.障害が発生する原因を明らかにするために人間の運動計測やシミュレーションが行われることが多いが,運動計測においては倫理面や安全性,再現性の問題があり,シミュレーションにおいては複雑な環境をコンピュータ上で再現することが困難であるため得られた結果の実証実験は難しい.そこで本研究は,中高齢者のランニング障害の受傷リスクを低減させるために,人間のランニングが模擬可能な2足ヒューマノイドロボットを用いて,障害例の多い部位である足部・足関節に関して適したランニングフォームを検証することを目的とする.

具体的には,ヒールストライク走法やフォアフット走法などの足部接地パターンを変化させた動きをロボットで再現することで,各関節の負荷が計測でき,障害のリスクファクターを明らかにすることを目指す.まず,ランニング時の人体計測を行い,運動データの取得およびランニング動作のモデル化を行う.そして,ランニングに必要な大きな関節出力を実現するための弾性体などにより,ランニングを実現可能な2足ヒューマノイドロボットを開発する.これを用いて,人間のようなランニングの模擬を実現し各部にかかる負荷を計測することで,既存の学説の検証や障害のリスクファクターの解明を行う.

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図1 等身大2足ヒューマノイドロボット

これまで,走行中の足関節の挙動について人体運動解析を行った.先行研究と同様に,Pitch軸には高い弾性が見られ,これが高出力の発揮に寄与していると考えられる.また,Roll軸では着地時の発揮トルクが非常に低いため,低い関節剛性で着地することで受動的な地面への倣いを実現していると考える.今後は,これらの特徴および得られた関節トルクなどを要求仕様とし,機体の開発およびそれを用いた検証を行う.