インクジェット印刷による高分子ナノシート上への
金属配線の形成

岡本麻鈴、黒飛みずほ、山岸健人、

村田篤、藤枝俊宣、岩瀬英治、

武岡真司、○岩田浩康

身に着けることで生活習慣や健康状態を管理できるウェアラブルデバイスは、使用者の体調管理に役立ち、個人の健康意識の向上に大きく寄与する。生体情報を高精度に計測するためにはデバイスと生体表面を密着させる必要があるが、硬質な材料からなるデバイスを装着した場合、身体の締め付けによる不快感や汗蒸れによる皮膚の炎症を引き起こすなどの問題がある。そこで、生体組織に調和し違和感なく快適に装着できるデバイスの開発が急務とされる。

本融合研究では、高い柔軟性および物理的密着力を備える高分子超薄膜(ナノシート)を電子通信技術と融合することで、接着剤などを用いずに直接生体組織に貼付可能なウェアラブルデバイスの開発を目指す(Figure 1a)。本発表では、1. 生体貼付デバイスの基材に適するナノシートの作製、2. ナノシート上への金属配線の形成と電気的特性の評価、3. 電子素子の固定および皮膚貼付時の機能評価に関して報告する。皮膚の動きや伸縮に追従するよう、弾性高分子(SBS)を材料とするナノシートを調製した。ナノシートの表面を改質した上で、インクジェットプリンターを用いて導電性ナノインクを印刷することにより、明瞭な配線パターンを得ることに成功した。配線抵抗は熱処理によって回路構成が可能な水準まで低減させられることを示した。さらに、配線上に電子素子(例:LED)を固定する技術を構築し(特願2015-96887)、ナノシート上に実装した電子回路が皮膚上で機能することを実証した(Figure 1b)。

生体表面と一体化するウェアラブルデバイスは、装着感や不快感なく継続的に健康状態を計測し続けることを可能にする。日常的な健康維持や疾病予防、在宅医療や見守り支援、アスリートのトレーニング管理など、医療、福祉、スポーツ科学の分野における広い応用が期待される。

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